展覧会
山田正亮の絵画 絵画と契約した男のストライプ
山田正亮の絵画 京都国立近代美術館 2017/3/1-4/9
絵を描く動機は人それぞれ違う。山田正亮は生きることに絵を描くことを託した画家です。5000点を越える絵を50年以上描き、それを記録しています。
静物画から長方形に、ストライプに変化して、グリッド(格子)に変化していきます。どの作品も色彩の関係を研究して、色の響きあいに一生を捧げた画家です。作品1点だけを見ると判らないのですが、数十点を同時に見ると、あまり変化のないようなストライプの絵が、苦悩や喜び、閉鎖、開放と試みる色の配置の変化を感じます。そして気がつくと、山田正亮の骨太で繊細な世界に誘われます。
いずみ「ただ絵具の色を並べてあるだけのストライプの絵に、こんな様々な思いを持つなんて。何かに取り憑かれたストライプを通して、彼の信念がじわじわと浮き上がる」
そら「ただ真横に筆を運んでるだけなのにね」
いずみ「気持ちがしっかり入らないと、この筆運びはできないよ。ストライプの絵具の重なりの層が物理的にも奥行きを醸している。そして絵具と絵具の隙間から、時々ちらっと見える下の色がストライプに微かなアクセントの彩りを添える。絵具が垂れて滴ってる動きも効果的」
そら「5000点もの絵画は、どう保管してあるんだろう?絵具代はどうしたのかな?といろいろ考えちゃうな」
旅する布たち-ひろいのぶこ展–
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 2017/3/11-3/26
絹、針金、羽毛、鉛、ゴム、羊毛、有刺鉄線、大麻、毛皮、真鍮、鉄、木、和紙、鏡、種、綿、麻、アクリル、竹、貝ボタンなどの素材を使って、詩的な作品を制作。不思議な重力感と、ときめきを感じる世界を紡ぐ作品たち。
別室では、世界の各地を訪れて集めた布や糸、服、道具、玩具、籠 など のコレクションの展示。現地で集めた資料は、たくさんのことを物語ってくれます。1室にぎっしり展示で見ごたえがあります。
いずみ「作品のモチーフは動物や手が多い。日々の生活とちょっとした距離感がありながらも親しみを感じる気配が素敵だなあ」
そら「世界の染色の資料展示も、自然と集まったかのように見えて、美のフィルターをかけられて、愛おしさがあるね」
いずみ「現地の記憶も一緒に集まってるもん」
アドルフ・ヴェルフリの王国
アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国 兵庫県立美術館 2017/1/11-2/26
新聞紙用の紙に鉛筆と色鉛筆で描いた絵。鉛筆で描くには大きすぎる紙面に、緻密にギッシリと埋めつくす、鉛筆で塗られた絵や楽譜、文字。
精神病院で、ヴェルフリは45冊の創造の物語を、毎日毎日鉛筆で描いていた。上質でない紙に鉛筆と色鉛筆の絵が、圧巻の存在で並んでいます。
いずみ「ヴェルフリの想像の物語の図版というべきものを、鉛筆の線で描かずにはいられないという表現が綿密に並んでいる。1日に一本の鉛筆を使ったというから、とにかく描く仕事量が多い」
そら「鉛筆だけの絵から、色鉛筆で色を添え、音符は装飾的になり、作曲が増えてと創作が変化していく。それと並行して、いわゆる注文のビジネス用の単発の絵も描き分けて、実は器用な人だったに違いない」
いずみ「生い立ちは不幸だったから、驚異的な制作ができたんだろうな」
そら「負のパワーが生み出す世界、自分の想像力は誰にも邪魔されないと主張してるみたいだね」
ムード・ホール カワイオカムラ@KCUA
展覧会 ムード・ホール カワイオカムラ 2016/12/17-2017/1/22 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
カワイオカムラの大規模な展覧会。1993年の〈AMAZON〉から2016年の〈ムード・ホール〉まで。
デジタルモデルアニメーション作品を中心に、カワイオカムラのたくさんの作品がまとめて見るコトができます。刑事コロンボ、漫才、プロレス、と昭和のテレビの香りを醸しながら、どこか悠久感のある世界に連れて行ってくれる映像作品たち。まるで深い穴にゆっくりと堕ちていく、ゆったりとした時間を楽しむ世界感。
いずみ「音楽がいい。映像作品は音響が大切だ。優雅な時間軸を表現している。凝りすぎる映像をまとめて特別な世界に連れて行ってくれる。あんまり技術を使わずに、ローテクで作った初期の作品に魅力を感じる。新作の〈ムード・ホール〉はどうも 緻密な画面とは裏腹に、パワーがないように感じる」
そら「キビシイご意見、出来すぎると面白味が減るのかな?」
天青色の汝窯青磁水仙盆5点+1点の饗宴
大阪市立東洋陶磁美術館 2016/12/10-3/26
台北の國立故宮博物院から、天青色の汝窯青磁水仙盆が 4点と、汝窯を真似た清時代の青磁水仙盆1点、それに大阪市立東洋陶磁美術館の所蔵品1点を合わせて、青磁水仙盆6点が1室に集まった特別展。大阪で天青色と呼ばれる青磁を同時に見比べることが出来る信じられない様な内容です。さらに特集展 宋磁の美 と中国の宋磁の魅力一杯です。
いずみ「なんといっても自然光に近い状態で、天青色と呼ばれる青磁の色味や艶、結晶、貫入の微妙な美しさの違いを見比べられる。実物を見ないと分からないんだよね〜」
そら「うん、この色味を説明するのは難しい、美しいと単純に言えない魅力」
いずみ「水仙盆の口を削って金属で覆輪したり、足を削って短くしたり、長い時代をくぐり抜けて、海を渡り、最高の青磁の名品に関係した人々の思いを想像すると、ますます興味深くなるんだよ」
驚きの明治工藝 宗培安コレクション
驚きの明治工藝展 細見美術館 2016/11/12-12/25
台湾の宋培安コレクションから。明治時代を中心に、本物そっくりに作られた超絶なモノたちです。ここまで人の手仕事で出来るの?とビックリするものばかり。ルーペで見ないと、その凄さがわからないような精密なものも。
銀で作られた 自在トンボ、10cmくらいの本物そっくり。
鉄で作られた 自在カマキリ、9.5cm。手と足の感じが素晴らしい出来 。
木で作られた 竹の上に乗る蜥蜴、竹の長さは40cm,彩色が本物そっくり。両生類のヌメッとした質感もあり。
いずみ「根付けは、細か過ぎて展示品の横の拡大写真を見なければ、肉眼では何なのか分からないほどの精密なものばかり。それだけ珍重されていたグッズだったんだね」
そら「小さいものは保管もしやすいし、うーそれでも信じられない超絶技巧!」
いずみ「個人のコレクション展を観るたび感じるのは、好みが反映されて面白いね」
そら「海外に輸出用に作られたものが多いから、日本の好みよりも外国の人にもわかりやすいものを研究して作ったんだね」
いずみ「細見美術館のコンパクトな空間で、より魅力的に見える日本の超絶技巧な工藝品たち」
天才アート展 石原寛子さんのセロテープ感覚
天才アート展 京都市堀川御池ギャラリー 2016/11/3-11/20
たくさんの作品の中で、目が釘づけになったのは、石原寛子さんの立体作品です。「無題」セロテープ2016。上の写真の右上の作品。
セロテープとクレヨンの色でできています。セロテープを、ペンの直径くらいの大きさにクルクル筒型に丸めてあるパーツが集合体になっています。セロテープの巻きの長さの違いで、それぞれ透明度に変化があって、ある部分のセロテープの筒の中に、クレヨンの顔料で幻想的な色彩が配置されて、セロテープの透明感と顔料のコントラストが無限の広がりを予感させます。クレヨンの色味が幻想的に深く見えます。たぶん無意識な感覚で構成して、でき上がっている集合体が、斜めから見ても、真上から見ても、違った雰囲気で、セロテープの筒が何かの塔にも見えるし、細胞の集まりにも見えます。はかない美しさと増殖していく未来を感じる小宇宙。
小宇宙の正体が丸まった筒型のセロテープだった・・・衝撃的 なセロテープの世界・・・。今は机の上のサイズですが、これがもっと大きな集合体に成長したら、草間弥生に並ぶ作品の力があると思います。
いずみ「身近なセロテープを素材にした作品、この感覚が素晴らしくて忘れられない日になった」












